Weekly妄想ニュース

SPシリーズ キーボードの謎




●どこでもプログラムがコンセプト

 前回はCPU内部のVHEについて詳しく掘り下げたが、今週はSPシリーズのキーボードに迫ってみたい。
 現在、携帯電話やハンディゲーム機など、数多あるモバイル情報端末。それらとPC-880lmkUSPやPC-660lSPが決定的に異なるのは、小さいながらも本格的なキーボードが搭載されていて、その場でプログラムを打ち込める点だろう。

 確かに、キーボードを搭載し、プログラムが打ち込めるモバイルコンピュータとして、十数年前から既に「ポケコン」というジャンルが確立されており、筆者も中学生の頃、SHARPのPC-1245というポケコンに、必死にプログラムを打ち込んだり、メモリを増設したりしたものだが、 現代のポケコンはパソコン同様、当時の輝きを失ってしまってはいないだろうか。

 例えば、今日のポケコンではアセンブラや、C言語でのプログラムが可能だ。しかし、「暴走」しないアセンブラや、C言語でプログラムをする意味は何だろうか? 学習目的なら、それがベストかもしれないが、プログラムの本当に面白い部分を取り去った、乱暴な例えをするならば「抜け殻」でしかないのではないか。

 実は、SPシリーズのコンセプトの本質はそこにある。プログラムをいかに高速に動作させるか、いかにハードウェアの特性等を利用して特殊な動作をさせるか。まるで難解なパズルを解くかの様な、プログラミングの面白さを再認識させよう。それがSPシリーズの開発動機なのだ。


●キーボードレイアウトの秘密

 さて、そのコンセプトを実現する為に搭載されたキーボードだが、PC-880lmkUSPのキーボードは、往年の同社製ハンドヘルドコンピュータPC-820lの配列をそのまま縮小したものだ。これは、限られたサイズに収めるに当たって、なるべく個々のキーの面積を多く取る事を考慮した結果だと言う。
 色々と専用の配置も検討したが、限られたスペースで、使いやすいように考慮されたPC-820lのキーボードのデザインが、このサイズでも最も優れていた為、採用となった様だ。

 ちなみに、PC-660lSPの方は、PC-600lmkU/PC-660lと同等のキー配列になっているが、これは機能性よりもデザインを優先したとの事。PC-880lmkUSPとの差別化の意味もあって、実際にプログラムを組む事よりも、ソフトのプレイヤーとしての性格が強い様だ。 実際、個々のキーのピッチは、ファンクションキーやカーソル移動キーを除いて、PC-880lmkUSPの方が大きく、僅かではあるが入力性は優れている。

キーボードのアップ
海外仕様のPC-880lmkUSPのキーボード PC-880lmkUSPとPC-660lSP

●PC-600lCrystal発売延期のワケ

 ところで最近、今夏に発売が予定されていた、モバイルマイコンの最下位機種となるPC-600lCrystalの発売が延期になった。こちらは、一部の部品調達が困難な為と説明されていたが、実はキーボードが原因の様だ。
 PC-600lCrystalは、SPシリーズと同じ88Engineを搭載し、キーボードとカラー液晶を備えたモバイルマイコン第三弾としてラインナップされる予定だったのだが、あまりにも小さな面積の筐体にPC-600lと同配列のキーボードを配置したため、 筐体の強度が不足し、入力の際に本体表面に亀裂が入ってしまう不具合が露見、発売を延期する事になったと言う。

幻となりそうな、キーボード搭載PC-600lCrystal

 現在、MEC社内において、PC-600lCrystalのコンセプトを含めた再検討が行われており、SPシリーズとは差別化を図って、キーボードレスになる可能性が高いと言う。 また、CPUも88-Engineではなく、弊社の16bitCPUコアV30MZを用いてZ80をソフトウェアエミュレートする案なども浮上しているそうだ。 これはつまり、プログラムの打ち込みと、周辺機器の接続を諦め、ソフトの再生専用に特化する戦略らしい。

 キーボード入力可能な機種が減ってしまうのは、もちろん残念な事だが、幸いなことにPC-660lSPが、PC-600lはもちろん、PC-600lmkU/660lと互換性を保っており、ソフトやハードを始め、プログラムの入力も可能な事から、特にコダワリが無ければ、当面はこちらを用いるのが懸命だろう。
 また、PC-660lSPで作ったプログラムを、他の人に使わせたり、純粋にプレイヤーとして持ち歩く分には、重量や電池の寿命などの関係からPC-600lCrystalの方が気軽に楽しめるというメリットがあるので、うまく使い分が出来ると言う点では、コンセプトの見直しは正解かもしれない。

 PC-600lCrystalが、SPシリーズのコンセプトを踏襲せず、SPシリーズとは全く異なるコンセプトで、我々の前に登場するのを期待したい。

□関連記事
【4月24日】Weekly妄想ニュース
SPシリーズのハードウェアに迫る
http://macots.hp.infoseek.co.jp/pc88/kaigai2.html

(2003年5月 8日)

[Reported by macotz]


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