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●88-EngineのVHEの正体に迫る MECのSPシリーズに搭載されているCPU、「88-Engine」の概要は以前レポートした通りだが、設定機種のハードウェアエミュレーションを実現するVHE(Virtual Hardware Emulation)機能を、CPUコア内の64bitDSPが行っていると説明した。 しかしながら、筆者はハードウェアの信号線レベルのエミュレーションを、DSPのみで行うというのは、アイデアとしては面白いが、本当にそんな事が可能なのか少々疑問を抱いていた。 そんな折り、今週になってようやく、取り寄せていた88-Engineの技術資料が届いたので、新たに判明した事実を中心に今回はレポートをお伝えする。 ●DSPユニットには2種類のPLDを内蔵 CPUコアに内蔵されたDSP部の詳細ブロック図を見てみると、一番大きな面積を占めているのは、やはり64bitのDSP部であるが、 それ以外に、簡単なCPUとしての機能を有するMEU(Micro Code Execution Unit)とそのROM、メモリやCPUとのI/Fなどが見える。 一番注目すべきは、PLU(Programmable Logic Unit)がUとVの2つ搭載されている点だろう。 この図にはPLUと表記してあるが、これは一般的にはPLD(Programmable Logic Device)と呼ばれるユニットで、予め用意された論理回路同士の配線を、プログラムで自由に結線できる回路、いわばプログラム可能なLSIだ。 どうやら88-EngineのVHE機能は、DSPによるものではなく、このPLUを用いて実現している、と言うのが正解の様だ。
●異なる2つのユニット PLUには性格の異なる2種類のユニットが用意されており、U側のユニットがFPGA(Field Programmable Gate Array)、V側のユニットがCPLD(Complex Programmable Logic Device)となっている。
両者の違いについての解説は専門書に譲るが、前者は比較的設計の自由度が高く、高効率ながら、遅延時間の予測が難しいなどの短所があり、開発者のスキルに左右されやすい。
後者はその逆の性格と考えてほぼ差し支えないだろう。 ちなみに、資料には詳細が明記されていないが、チップのサイズや線幅等から推測すると、各ユニットのゲート数は約2万で、両者合わせても4万ゲート程度と少なめ。 本格的な多機能ハードウェアの実現には少々役不足であるものの、往年のマイコンに搭載されていた周辺ハードウェア程度ならば、充分に事足りるゲート数とも言える。 また、ハードウェアとして機能させる必要のない部分、例えばCPUや、88シリーズのディスクサブシステムなどは、CPUユニット側でソフト的にエミュレートすれば良く、 むやみに集積度を上げないという点で、バランスの取れた設計のチップと言えるだろう。 ●88SPとしての構成 各ユニットの使用例について、簡単ながら資料に掲載されていたPC-88SPとしての動作時の構成を掲載しておく。 各ユニットは下に示す通りに役割分担されており、用意されたハードウェアを巧みに利用して、PC-880lFA相当の機能を実現しているのがわかる。 PC88程度のハードウェアなら、全てをソフトウェアエミュレーションで実現可能らしいが、この構成はチップ性能のデモンストレーション的な目的もあって、
全てのユニットをうまく利用する様に設計されているらしい。特に、面白いのはFM音源部で、DSP部とMEUを上手に利用しており、PLUもCPUも用いずにYM2608相当として機能する様になっている。
この辺りにインテリジェント動作可能なMEUを搭載した威力が発揮されていると言えるだろう。
同社ではこの88-Engine上で、同社のゲーム機PC-Engineのエミュレータも開発に成功しており、今後も、往年のパソコンシリーズのエミュレータのみならず、 PC-FXなどのゲーム機をはじめ、様々な機器のエミュレータをチップレベルで提供して行くとしている。どこかのCMコピーではないが「これからの成長が楽しみ」なCPUだ。 □関連記事【4月17日】Weekly妄想ニュース MECのSPシリーズに迫る http://macots.hp.infoseek.co.jp/pc88/kaigai1.html (2003年4月23日) [Reported by macotz]
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